今年度初めての中学部書道体験
― 中学3年生が挑む「月光」 静けさの中に生まれた“自分と向き合う時間” ―
今年度の中学部で最初の書道体験を、3年生を対象に行いました。
卒業までのカウントダウンが少しずつ聞こえてくるこの時期。そんな3年生が向き合った課題は、学年の先生が選んでくださった二文字「月光」。
夜空にすっと差し込む光のように、凛として静かで、どこか深い意味を感じさせる言葉です。



■ 書道の歴史を知り、“筆を持つ理由”を知るところから
体験の始まりは、書初めがいつ、どのように生まれたのかという小さなお話から。
「ただ書く」のではなく、「なぜこのような文化が残っているのか」を知ることで、筆を持つ時間が少し特別なものに変わります。
さらに、書道に臨む姿勢や筆・硯・墨の扱い方についても確認しました。
「姿勢を整えることは、心を整えることにもつながるよ」
そんな言葉に、生徒たちも自然と背筋を伸ばしていました。
続いて、模範書きを見ながら解説。
どこを太く、どこを細く、どのタイミングで力を抜くのか。
筆の流れ、運び方、紙との距離感。
細かなポイントを伝えると、「へぇ〜」「そんなこと考えたことなかった」という声が上がり、みんなの表情が少し真剣になっていきました。
■ 黙想で空気が変わる――教室に広がる静寂
そして、書く前に行ったのが“黙想”。
目を閉じ、深く息を吸って、ゆっくりと吐く。
わずか数十秒でしたが、教室の空気がふっと変わる瞬間がありました。
周りのざわつきがすっと収まり、心が穏やかになる時間。
「よし、書くぞ」という気持ちが全員の中に生まれたように感じられました。



■ はじめは笑い声、やがて“筆の音が聞こえるほどの静けさ”に
いよいよ書道体験のスタートです。
初めの数枚は、思うようにいかず、
「むずかしい!」
「なんか曲がった!」
「先生、助けて〜!」
と笑いや叫び(?)が飛び交い、まさに中学生らしい明るい雰囲気。
ところが、数枚、十数枚と書き進めるうちに、
教室の空気がじわじわ変わっていきました。
まるで筆のすべる音だけが響いているような、そんな静けさ。
「集中するって、こういうことなんだな」
と、教室全体が感じさせてくれるほどの空気でした。
■ それぞれが“今日の一枚”を選ぶ時間
十分に練習したあと、それぞれが自分の作品の中から「これだ」と思う一枚を選び、黒い画用紙に貼って仕上げました。
満足いかない……と言いながらも、どこか誇らしげな表情。
それは、“うまく書けたかどうか”ではなく、“自分と向き合った時間”の証でもあります。
ちょうどこの日は、卒業アルバムの写真を撮影する保護者の方も来校されており、生徒たちが書く様子をたくさん撮ってくださいました。
きっと卒業アルバムを見返すたびに、この日の静かな緊張感や仲間との空気を思い出すことでしょう。



■“書く”という行為以上のものを味わった時間
今回の書道体験は、単に文字を書くだけの時間ではありませんでした。
歴史を知り、姿勢を整え、心を落ち着け、自分と静かに向き合う。
そんな、小さな旅のような時間となりました。
中学3年生の皆さんが書いた「月光」は、どれも個性があり、力強く、そしてどこか温かい表情をしています。
今年の書道体験、最初の一歩として、本当に素晴らしい時間となりました。


